家のコンセントを使っていると「なんだかプラグが熱い気がする」「最近、家電の調子が悪いけど、もしかして電圧が不安定なのかな?」と不安になることってありますよね。目に見えない電気だからこそ、なんとなく怖いと感じてしまうのは当然です。プロに頼むほどでもないけれど、自分でサッと現状を確認できたら安心だなと考える方も多いのではないでしょうか。実は、正しい手順と道具、そして安全への知識さえあれば、資格を持っていなくても安全にチェックすることができるんです。
- 電気工事士の資格がなくても可能な「点検」の範囲と法的な境界線
- マルチメーターやコンセントテスターを使った具体的な電圧・極性の測定手順
- 100V電圧の正常値や、アース(接地)が機能しているかの判断基準
- 測定結果が異常だった場合に取るべき正しい対処法とリスク管理
コンセントのテスターでの測り方と基本の準備

まずは、実際にコンセントを測定する前に知っておくべき「基本のキ」からお話ししますね。電気は私たちの生活になくてはならない便利なものですが、扱いを間違えると感電やショート、最悪の場合は火災といった重大な事故につながるリスクもあります。「安全第一」で作業するために、道具の選び方や法律のルールをしっかり押さえておきましょう。
- 資格は必要?法律と安全なコンセント測定の範囲
- マルチメーターや検電器など種類の選び方
- マルチメーターでの100V電圧の測定手順
- コンセントの極性の見分け方と確認手順
- 3穴コンセントのアース測定と接地の確認
資格は必要?法律と安全なコンセント測定の範囲

DIY好きの方が一番気になるのが「これって電気工事士の資格がないとやっちゃダメなんじゃないの?」という点かと思います。
結論から言うと、テスターを使ってコンセントの電圧を「測る(点検する)」だけなら、資格は必要ありません。
法律(電気工事士法など)では、電線を接続したり、コンセントそのものを壁から外して交換したりする作業を「電気工事」と定めていて、これを行うには必ず資格が必要です。しかし、テスターの棒(プローブ)をコンセントの穴に差し込んで数値を読むだけの行為や、検電器を当てる行為は「軽微な作業」や「自主点検」の範疇に含まれるため、一般の方が自宅で行っても法的な問題はないんです。
資格の境界線
- OK(無資格で可):テスターでの電圧測定、検電器での通電確認、プラグの抜き差し、電球の交換、延長コードの接続。
- NG(資格が必要):コンセント本体の交換・移設、壁の中の配線修理、分電盤のブレーカー交換、アース棒の打ち込み工事。
ただし、資格が不要だからといって「危険がない」わけではありません。家庭用の100V電源でも、濡れた手で触ったり、テスターの設定を間違えたりすれば感電やショート事故を起こします。あくまで「自己責任での安全確認」であることを忘れないでくださいね。
マルチメーターや検電器など種類の選び方

「テスター」と一口に言っても、ホームセンターに行くと実はいろいろな種類が並んでいます。「結局、何を買えばいいの?」と迷ってしまいますよね。ここでは、コンセントの状態を確認するために使える主要な3つのツールを比較してみましょう。
| ツールの種類 | できること・特徴 | こんな人におすすめ |
| デジタルマルチメーター (DMM) | 電圧(V)が「101.5V」のように数字で正確にわかる。導通チェックなども可能。 | 電圧の数値までしっかり知りたい人。 DIYで他の用途にも使いたい人。 |
| コンセントテスター (検電プラグ) | コンセントに「挿すだけ」で、極性・アース・通電を一発診断できる。数値は出ない。 | 難しい操作はしたくない人。 手軽に安全確認だけしたい人。 |
| 検電器 (検電ペン) | ペン型で、触れるだけで「電気が来ているか」を音や光で知らせる。 | 配線を触る前の安全確認用。 電圧値までは不要な人。 |
1. デジタルマルチメーター(DMM)
最も汎用性が高く、おすすめです。
電圧が具体的な数値で見えるので、「電気が来ているか」だけでなく、「電圧が低すぎていないか(電圧降下)」といった不調の原因まで探ることができます。
2. コンセントテスター(検電プラグ)
個人的にDIYユーザーに激推ししたいのがこれです。
コンセントに差し込むだけで、ランプの点灯パターンによって「正常」「極性が逆」「アースが繋がっていない」などを教えてくれます。テスターのような設定ミスによる事故リスクがほぼゼロなので、初心者でも安心して使えます。
これから道具を揃えるなら、多機能な「デジタルマルチメーター」を1台持っておくと便利ですが、コンセントのチェックに特化するなら「コンセントテスター」が圧倒的に楽ちんですよ!
マルチメーターでの100V電圧の測定手順

では、最も一般的な「デジタルマルチメーター」を使って、実際に家庭用コンセント(100V)を測ってみましょう。ここで命取りになる一番大切なことは「レンジ設定(ダイヤルの位置)」です。
【危険】絶対やってはいけないこと
テスターのダイヤルが「抵抗(Ω)」や「電流(A、mA)」、あるいは「導通モード」になったままコンセント(100V)に棒(プローブ)を差し込むと、テスター内部でショート状態になり、「バチン!」と火花が出てテスターが破損したり、ブレーカーが落ちたりします。
測定前には、必ずダイヤルを指差し確認する癖をつけてください!
- テストリードの接続: (テストリード脱着式の場合)黒いテストリード(マイナス)を「COM」端子に、赤いテストリード(プラス)を「V」と書かれた端子に奥までしっかり差し込みます。
- ファンクションの設定: ダイヤルを交流電圧(ACV または V~)に合わせます。 ※DCV(直流)やmV(ミリボルト)ではないことを確認してください。日本の家庭用コンセントは交流です。
- 測定の実施: コンセントの左右の穴に、赤と黒の棒(プローブ)をそれぞれ差し込みます。この時、プローブの金属部分には絶対に指が触れないように持ち手のプラスチック部分を持ってください。 ※交流電気にはプラス・マイナスの極性が常に入れ替わっているため、赤と黒を左右どちらに入れても測定結果は変わりません。
- 数値の確認: 液晶画面の数値を読み取ります。95V~107Vの範囲なら電気正常に来ています。
コンセントの極性の見分け方と確認手順

「コンセントに向き(極性)なんてあるの?」と思われるかもしれませんが、実はあるんです。普段プラグを挿すときは気にしませんが、電気工事の世界では厳密に決められています。
コンセントの穴を正面からよく見てください。左側の穴の方が、右側よりも少しだけ(2mmほど)長くなっているのが分かりますか?(※正しく施工されている場合)
- 左(長い穴・9mm):接地側(コールド)。 電柱のトランス付近で地面(アース)に繋がれており、対地電圧はほぼ0Vです。
- 右(短い穴・7mm):非接地側(ホット)。 こちらから100Vの電気が送られてきます。触ると感電するのはこちら側です。
これをテスターを使って、電気的に確認する方法があります。
マルチメーターを使った極性判別法(対地電圧測定)
この方法は、簡易的にどちらがホットかを見分けるテクニックです。
【測定方法】
- テスターの設定は交流電圧(ACV)のままにします。
- 片方のリード(黒など)を、部屋のアース端子(あれば)や、窓枠のサッシなどの金属部分に当てます。(※近くにアースがない場合、簡易的には空中に浮かせるだけでも数値の差が出ることがありますが、確実ではありません)
- もう片方のリード(赤)を、コンセントの穴に片方ずつ差し込んでみます。
【判定基準】
- 数値が高い方(例:80V〜100V):ホット(非接地側)です。通常は短い穴の方です。
- 数値が低い方(例:0V〜数V):コールド(接地側)です。通常は長い穴の方です。
もし「長い穴」の方で高い電圧が出た場合、壁の中で配線の白と黒が逆になっている「極性違い」の施工ミスの可能性があります。
【先に読みたい】 極性が逆の場合の影響と危険性について
3穴コンセントのアース測定と接地の確認

キッチンや洗面所、またはPC用のOAタップなどで見かける3つ穴のコンセント。この真ん中の下にある丸い穴がアース(接地極)です。これが飾りではなく、ちゃんと地面に繋がって機能しているかもマルチメーターで確認できます。
ダイヤルは交流電圧(ACV)のままです。
- ホット(短い穴)とアース(丸い穴)を測る: → 約100V(95V〜107V)が表示されれば正常です。アース線が電気の通り道として機能しています。
- コールド(長い穴)とアース(丸い穴)を測る: → ほぼ0Vが表示されれば正常です。ここはどちらも地面に繋がっている側なので、電圧差はほとんどありません。
もし、ホット(短い穴)とアース(丸い穴)の間を測っても0Vだった場合、そのコンセントのアース端子は裏で配線が繋がっていない(アース工事がされていない)可能性があります。洗濯機や電子レンジなど、水気のある場所で使う家電の場合は、漏電時の安全確保のために対策を考えたほうが良いでしょう。
コンセントのテスターでの測り方と異常時の対処

測定作業、お疲れ様でした!数値は無事に出ましたでしょうか? ここからは、テスターに表示された数値が正常なのか、それとも何か危険な兆候を示しているのか、結果の読み解き方を解説していきます。
- 測定結果の正常値と許容範囲の判断基準
- 電圧が0Vや低い場合の故障原因と対処法
- 漏電ブレーカーの確認と危険な兆候
- 極性が逆の場合の影響と危険性について
- コンセント交換や修理に必要な電気工事士資格
- コンセントのテスターでの測り方の総まとめ
測定結果の正常値と許容範囲の判断基準

「100Vぴったりじゃない!103Vって出たけど故障?」と心配になるかもしれませんが、結論から言うとそれは正常です。
家庭に届く電気の電圧は、近所の電力使用状況によって常に変動しています。そのため、法律(電気事業法)によって、電力会社が維持すべき電圧の範囲が明確に決められています。
電気事業法施行規則 第三十八条による標準電圧
標準電圧100ボルトの回路においては、「101ボルトの上下6ボルトを超えない値」と定められています。(出典:e-Gov法令検索『電気事業法施行規則』第三十八条)
つまり、テスターの表示が95Vから107Vの間であれば、それは完全に正常範囲内です。「98V」でも「105V」でも、家電製品は問題なく動作するように設計されているので安心してください。
電圧が0Vや低い場合の故障原因と対処法

もし測定結果が正常範囲を外れていた場合、いくつかの原因が考えられます。
電圧が「0V」の場合
電気が全く来ていません。コンセント自体の故障よりも、まずは、ブレーカーが落ちている可能性を疑いましょう。洗面所やキッチンなど、特定のエリアだけ使えないなら、分電盤にある安全ブレーカー(小さなスイッチ)が切れていないか確認してください。
電圧が「40V」や「80V」など中途半端に低い場合
これは、0Vよりも要注意な状態です。単に電気が弱いのではなく、「中性線欠相」や壁内配線の接触不良(断線しかけ)といった深刻なトラブルの可能性があります。 特に単相3線式(大きな家など)で中性線が断線していると、電圧バランスが崩れ、ある部屋では電圧が低く、別の部屋では100Vを大きく超える異常電圧がかかっているかもしれません。これは家電を一斉に破壊し、火災の原因になります。
電圧が「40V」や「80V」など中途半端に低い場合
すぐにその回路のブレーカーを落とし、使用を中止してください。そして速やかに電気工事店や電力会社に連絡してください。この状態で使い続けるのは非常に危険です。
漏電ブレーカーの確認と危険な兆候

もし、分電盤のメインに近い大きなスイッチ(漏電ブレーカー)が落ちていて、上げてもすぐに「バチン!」と落ちてしまう場合は、家のどこかで「漏電」が発生しています。
漏電とは、電気がケーブルや機器の絶縁(被覆)を破って、外部に漏れ出している状態のこと。無理にブレーカーを上げて電気を流し続けると、漏れた電気が建材を発熱させたり、触れた人が感電したりします。
一度、全ての小さなブレーカー(安全ブレーカー)をオフにし、漏電ブレーカーを上げます。その後、小さなブレーカーを一つずつ上げていき、上げた瞬間に漏電ブレーカーが落ちる回路が「犯人」です。その回路だけをオフにしておけば、他の部屋の電気はとりあえず使えますが、早急にプロによる調査が必要です。
極性が逆の場合の影響と危険性について

先ほどのチェックで、「短い穴ではなく、長い穴(コールド)の方がホットになっていた(極性逆)」というケース。
「えっ、今すぐ直さないとヤバい?」と焦るかもしれませんが、実は日本の一般的な家電(コンセントプラグに極性の区別がないもの)の多くは、極性が逆でも動くように作られています。そのため、テレビが映らないとか冷蔵庫が冷えないということは基本的には起こりません。
ただし、以下のようなデメリットやリスクがあります。
- オーディオ・映像機器:本来アース側に落ちるべきノイズが回路に残り、画質や音質が悪化することがある。
- 片切りスイッチの安全性:照明器具などのスイッチは、通常「ホット側」の線を切るように配線されます。極性が逆だと、スイッチをオフにして電球を交換する際、ソケットの奥まで電気が来ていることになり、感電のリスクが高まります。
基本的には「気持ち悪いけど、直ちに火事になるわけではない」ケースが多いですが、オーディオにこだわる方や、安全性を完璧にしたい方は、電気工事店に修正(配線の入れ替え)を依頼することをおすすめします。
【先に読みたいから戻りたい】 マルチメーターを使った極性判別法(対地電圧測定)
コンセント交換や修理に必要な電気工事士資格

最後に一番大切なことをお伝えして終わります。測定の結果、「コンセントが焦げて炭化している」「極性を直したい」「アースがないから増設したい」といった問題が見つかった場合。
これらの修理・交換・増設作業は、すべて「電気工事士」の資格が必要です。
YouTubeなどで交換動画を見ると簡単そうに見えるかもしれませんが、見よう見まねでDIY交換するのは法律違反(電気工事士法違反)です。また、ネジの締め付け不足による発熱・発火(トラッキング現象など)は、施工直後ではなく数ヶ月〜数年後に発生することが多く、大変危険です。
「測定までは自分(DIY)で、修理はプロ(電気工事店)へ」。この境界線をしっかり守ることが、あなたと大切な家族、そして財産を守るための一番の方法です。
コンセントのテスターでの測り方の総まとめ

今回は、テスターを使ったコンセントの測定方法について詳しく解説してきました。目に見えない電気も、数値化してしまえば状態がよく分かり、漠然とした不安を解消することができます。「なんとなく調子が悪い気がする」というモヤモヤを抱えたまま使い続けるより、一度しっかり測定してみると安心感が違いますよ。
- 点検はOK:テスターでの電圧測定や検電器の使用は、無資格でも法的に問題ない。
- レンジ確認:マルチメーターは必ず「交流電圧(ACV)」に合わせてから使う。抵抗モードは厳禁。
- 正常値:95V~107Vの範囲なら正常。100Vぴったりでなくても大丈夫。
- 無理は禁物:異常が見つかったり、コンセント交換が必要な場合は、自分でやらずに必ずプロに依頼する。
まずは安全なコンセントテスターやマルチメーターを一つ工具箱に入れておき、定期的に家のコンセントの健康診断をしてみてはいかがでしょうか。それが安全で快適なDIYライフの第一歩になりますよ。


















