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接地抵抗とは?わかりやすく基本から基準・測定法まで解説

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電子レンジや洗濯機で見かける緑色のアース線。「なんとなく繋いでいるけれど、そもそも接地抵抗とは何ですか?」と疑問に思ったことはありませんか?実はこの接地、私たちの安全を守るために非常に大切な役割を担っています。しかし、接地抵抗と絶縁抵抗の違いとは何か、なぜ接地抵抗は小さいほうが良いですか?と問われると、正確に答えられる方は少ないかもしれません。

この記事では、法律で定められた接地抵抗の基準、特に高圧設備で重要な接地抵抗のA種から、家庭でも身近な接地抵抗のD種まで、その基本を徹底的に掘り下げていきます。もし接地抵抗が高いとどうなるのか、その危険性から、接地抵抗の測り方の基本手順、さらには接地抵抗値を下げる方法とはどのようなものがあるのかについても詳しく解説します。この記事を最後まで読めば、接地抵抗とは何かをわかりやすく総括的に理解し、電気をより安全に利用するための知識が身につくはずです。

👍この記事でわかること
  • 接地抵抗の基本的な意味とその重要性
  • 法律で定められた接地工事の種類と基準値
  • 接地抵抗の正しい測定方法と注意点
  • 接地抵抗値が基準を満たさない場合の対策

接地抵抗とは何かをわかりやすく解説

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  • そもそも接地抵抗とは何ですか?
  • 接地抵抗と絶縁抵抗の違いとは
  • なぜ接地抵抗は小さいほうが良いですか?
  • 法律で定められた接地抵抗の基準
  • 高圧設備で重要な接地抵抗のA種
  • 家庭でも身近な接地抵抗のD種

そもそも接地抵抗とは何ですか?

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接地抵抗とは、電気設備や電気製品を大地(地面)と電気的に接続した際の、「電気の流れにくさ」を示す数値のことです。この言葉は「接地(アース)」と「抵抗」という二つの言葉が合わさってできています。

  • 接地(アース):電気設備や機器の金属部分など、通常は電気が流れない部分を導線(アース線)を使って大地と接続すること。
  • 抵抗:電気の流れを妨げる力のこと。単位は「Ω(オーム)」で表されます。

これを踏まえると、接地抵抗は「万が一、電気が本来の回路から漏れてしまった(漏電した)際に、その漏れた電気がアース線を通って大地へどれだけスムーズに流れていけるか」を示す指標であると言えます。

電気の「安全な排水路」

接地は、電気における「排水路」のようなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。通常、水は水道管を通りますが、もし水道管が破裂して水漏れした場合、排水溝があれば水は安全に排出され、床が水浸しになるのを防げます。同様に、電気が漏れた際に、その電気を安全に大地という巨大な受け皿へ逃がすための排水路が「接地」であり、その排水路の通りやすさ(詰まりにくさ)が「接地抵抗」なのです。

電気が大地へ向かう経路は、一般的に「電気機器の金属部分 → 接地線(アース線) → 接地極(地面に埋設された金属棒や銅板) → 大地」というルートをたどります。この経路のうち、接地線や接地極は金属でできているため、それ自体の抵抗は非常に小さく、ほとんど問題になりません。

しかし、最終的に電気を受け止める大地そのものが持つ抵抗(これを「大地抵抗率」と呼びます)は、場所によって大きく異なります。例えば、水分を多く含んだ粘土質の土壌は電気を通しやすい(抵抗率が低い)ですが、乾燥した砂地や岩盤質の土地は電気を通しにくい(抵抗率が高い)性質があります。

このように、接地抵抗の値は、接地線や接地極の性能だけでなく、主にその土地の大地の電気的な性質に大きく依存しているのです。

接地抵抗と絶縁抵抗の違いとは

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電気の安全性を語る上で、接地抵抗と共によく登場するのが「絶縁抵抗」という言葉です。これらは文字面が似ていますが、その役割や目的は全く正反対であり、この違いを正確に理解することが重要です。

一言でいうと…

  • 接地抵抗:電気を「積極的に流す」ための抵抗。値は低いほど良い。
  • 絶縁抵抗:電気を「徹底的に流さない」ための抵抗。値は高いほど良い。

両者の違いをより詳しく見ていきましょう。

比較項目接地抵抗絶縁抵抗
目的漏電した電流を安全に大地へ逃がすこと(感電・火災防止)電気が本来の回路以外に漏れないように遮断すること
役割の例え電気の「安全な逃げ道(バイパス)」電気の「漏れを防ぐ壁(絶縁体)」
理想的な値できるだけ低い(0Ωに近い)方が安全できるだけ高い(無限大に近い)方が安全
測定対象接地極と大地との間の電気の流れにくさ電線と大地、または電線同士の間の電気の漏れにくさ
基準値数Ω〜数百Ω(法律で上限が規定)数MΩ以上(法律で下限が規定)

目的と役割の違い

接地抵抗の主な目的は、万が一の漏電時に、その危険な電気を人体ではなく大地へ「積極的に流す」ことで人を守る、いわばフェイルセーフの考え方に基づいています。

一方、絶縁抵抗の目的は、電線の被覆(ビニルなど)が持つ電気を通さない性質を利用して、そもそも電気が外に「漏れ出さないようにする」ことです。正常な状態を維持するための基本的な安全性能と言えます。ケーブルを触っても感電しないのは、この絶縁抵抗が非常に高く保たれているからです。

このように、接地抵抗は「漏れてしまった後の対策」であり、絶縁抵抗は「漏れさせないための予防」という点で、根本的な役割が異なります。電気設備の安全は、この両輪が正しく機能することで成り立っています。

なぜ接地抵抗は小さいほうが良いですか?

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接地抵抗値は、安全性を確保するために、可能な限り小さく保つ必要があります。その最大の理由は、電気が持つ「複数の経路がある場合、抵抗が低い方へより多くの電流が流れる」という物理的な性質にあります。

オームの法則と分流の原理

電気の世界の基本法則である「オームの法則(電圧 V = 電流 I × 抵抗 R)」から、電圧が一定であれば、抵抗が小さいほど多くの電流が流れることがわかります。漏電した機器に人が触れた状況は、人体という抵抗と、接地線という抵抗が並列に接続された回路と見なせます。この場合、漏電電流はそれぞれの抵抗値に反比例して分流するため、接地抵抗が人体抵抗より圧倒的に低ければ、ほとんどの電流が接地線側に流れるのです。

具体的な例で考えてみましょう。

ある家電製品が内部で故障し、1アンペアの電流が金属製の外箱に漏電したとします。この製品に、手が濡れて身体抵抗が2,000Ωになった人が触れたと仮定します。

ケース1:接地がされていない場合

接地がないため、漏電電流の逃げ道は人体しかありません。1アンペアの電流がすべて人体を流れ、極めて危険な状態になります。

ケース2:接地抵抗が500Ωの場合(D種接地の緩和基準値)

漏電電流は、2,000Ωの人体と500Ωの接地線に分かれて流れます。この場合、人体には約0.2アンペア(200ミリアンペア)の電流が流れます。これもまた、命に関わる危険な電流値です。

ケース3:接地抵抗が100Ωの場合(D種接地の原則基準値)

漏電電流は、2,000Ωの人体と100Ωの接地線に分かれて流れます。この場合、人体に流れる電流は約0.048アンペア(48ミリアンペア)まで減少します。依然として強い衝撃を感じる値ですが、ケース2に比べて危険度は大幅に低下します。

ケース4:接地抵抗が10Ωの場合(A種・C種接地の基準値)

漏電電流は、2,000Ωの人体と10Ωの接地線に分かれて流れます。人体に流れる電流は、わずか約0.005アンペア(5ミリアンペア)にまで抑えられます。このレベルであれば、感電の危険性は劇的に低減されます。

このように、接地抵抗が低ければ低いほど、万が一の際に人体を流れる電流を少なくでき、安全性が格段に向上します。これが、接地抵抗は小さいほうが良いとされる明確な理由です。

法律で定められた接地抵抗の基準

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人々の安全を守るため、接地工事の基準は個人の判断に委ねられているわけではなく、「電気設備技術基準」およびその解釈によって法的に厳密に定められています。この基準は、電気を使用する人々の安全確保や、電気設備が周囲の建物や通信設備へ悪影響を及ぼすことを防ぐ目的があります。

接地工事は、対象となる電気設備の電圧や設置場所、目的によって、主にA種、B種、C種、D種の4つに分類されています。それぞれの種類で、満たすべき接地抵抗値の上限や使用する接地線の太さなどが細かく規定されています。

接地工事の種類対象となる電圧の種別接地抵抗値の基準使用する接地線の太さ(直径)主な適用場所の例
A種接地工事高圧用・特別高圧用10Ω 以下2.6mm 以上・高圧受電設備の金属製外箱や鉄台
・避雷器(避雷針)
B種接地工事高圧/特高と低圧を結合する変圧器計算値 (150/Ig) (※)4mm 以上 (※)・電力会社の柱上変圧器の中性点
C種接地工事300Vを超える低圧用10Ω 以下1.6mm 以上・三相400V級の業務用大型エアコン
・工場の動力用機械、エレベーター
D種接地工事300V以下の低圧用100Ω 以下 (※)1.6mm 以上・家庭用エアコン、洗濯機、電子レンジ
・自販機、店舗のショーケース
※補足事項

  • B種接地工事:抵抗値の計算式にある「Ig」は、1線地絡電流(漏電時に流れる最大電流)を指し、変圧器の仕様によって値が異なります。また、条件によっては直径2.6mmの電線も使用可能です。
  • D種接地工事:後述する通り、漏電遮断器が設置されている場合は、接地抵抗値の基準が500Ω以下に緩和されます。

このように、電圧が高く、事故の際に大きな被害が想定される設備ほど、より低い接地抵抗値(より厳しい基準)が求められていることがわかります。電気工事に携わる専門家は、施工する設備がどの種類の接地工事に該当するのかを正確に判断し、定められた基準を確実に満たす義務があります。

高圧設備で重要な接地抵抗のA種

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A種接地工事は、4種類の中で最も厳しい「10Ω以下」という接地抵抗値が要求される、最高レベルの接地工事です。この工事は、高圧(直流で750V、交流で600Vを超える)または特別高圧(7,000Vを超える)の電気設備が対象となります。

具体的には、ビルや工場の受変電設備(キュービクル)の金属製の外箱や、電力会社の送電鉄塔、そして落雷による莫大なエネルギーを安全に大地へ逃がすための避雷器(一般的に避雷針と呼ばれる設備)などに適用されます。

なぜこれほどまでに低い抵抗値が不可欠なのでしょうか。その理由は、高電圧の電路で漏電や地絡事故が発生した場合、流れる電流が低圧の場合とは比較にならないほど大きくなるためです。もし接地抵抗が中途半端に高いと、この大電流を大地へスムーズに流しきることができず、接地線や機器の周囲の地面の電位(電圧)が危険なレベルまで一気に上昇してしまいます。

これを「電位上昇」と呼びますが、この状態になると、機器の近くにいる作業員が歩くだけで両足の間に高い電圧(歩幅電圧)がかかり、感電するなどの極めて危険な事故につながります。また、機器そのものが過電圧で破壊され、大規模な停電や設備への甚大な損害を引き起こす原因ともなり得ます。

A種接地工事は、こうした重大な人身事故や社会インフラへの影響を防ぐための最後の砦です。そのため、10Ω以下という非常に低い抵抗値を達成し、それを維持管理することが、電力の安全供給において極めて重要なのです。

家庭でも身近な接地抵抗のD種

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D種接地工事は、私たちの日常生活に最も深く関わっている接地工事です。対象となるのは、「300V以下の低圧」で使用される電気機器で、具体的には、一般家庭のコンセント(100V)やエアコン専用コンセント(200V)に接続して使用するほとんどの家電製品が該当します。

特に、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジ、食器洗い機、温水洗浄便座といった水回りで使用する家電や、屋外に設置されるエアコンの室外機などは、湿気や結露によって漏電のリスクが比較的高いため、D種接地工事が法律で強く推奨、あるいは義務付けられています。

D種接地工事に求められる接地抵抗値は、原則として「100Ω以下」です。この値を満たすことで、万が一家電製品が漏電したとしても、人が触れた際に人体に流れる電流を安全なレベルに抑えることができます。

知っておきたい「緩和条件」

D種接地工事には、非常に重要な緩和条件が存在します。それは、その電気回路に「地絡(漏電)を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置」が設置されている場合です。これは一般的に、分電盤に設置されている漏電遮断器(漏電ブレーカー)を指します。

この漏電遮断器が設置されていれば、D種接地工事の接地抵抗値の基準は「500Ω以下」まで緩和されます。なぜなら、たとえ接地抵抗が100Ωを超えていて人体にある程度の電流が流れたとしても、0.5秒というごく短時間で電源が強制的にカットされるため、重篤な事故に至る可能性が低いと考えられるからです。

現在のほとんどの住宅にはこの漏電遮断器が設置されています。しかし、これはあくまで基準値の緩和であり、接地工事そのものが不要になるわけではありません。安全のため、アース線の接続は確実に行うことが大切です。


接地抵抗の測定と対策をわかりやすく紹介

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  • 接地抵抗が高いとどうなるのか
  • 接地抵抗の測り方の基本手順
  • 接地抵抗値を下げる方法とは
  • 接地抵抗とは何かをわかりやすく総括

接地抵抗が高いとどうなるのか

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接地抵抗が高い状態、つまり法律で定められた基準値を超えている状態を放置することは、目に見えない時限爆弾を抱えているようなもので、様々な危険を伴います。

接地抵抗が高い場合の3大リスク

  1. 感電事故のリスク増大:最も直接的で重大な危険です。前述の通り、接地は漏電電流の安全なバイパスルートですが、抵抗が高いとそのルートが機能不全に陥ります。結果として、漏電した電流が機器の金属部分に留まり、そこに触れた人の体を流れてしまいます。特に水回りや屋外など、体が濡れている状況では人体抵抗が下がるため、より少ない電圧でも致命的な感電事故につながる恐れがあります。
  2. 火災の発生:漏電した電流は、行き場を失って建物の鉄骨やガス管、水道管など、予期せぬ経路を流れようとします。もし、その経路の接続部などにわずかな抵抗や接触不良があると、そこでジュール熱が発生し、火花が散ることがあります。この熱や火花が、壁の内部にあるほこりや断熱材などの可燃物に引火し、漏電火災を引き起こす原因となります。
  3. 電気機器の故障・誤作動:接地は、落雷によって発生する異常な高電圧(雷サージ)や、電力網で発生するノイズを大地へ逃がす役割も担っています。接地抵抗が高いと、これらの異常電圧やノイズをうまく処理できず、パソコンやサーバー、テレビ、スマート家電といった精密な電子回路を持つ機器に侵入し、内部の半導体を破壊して故障させてしまうことがあります。また、オーディオ機器のノイズの原因になったり、計測機器が誤った値を表示したりするなど、機器の安定した動作を妨げる要因にもなります。

このように、接地抵抗の管理不備は、人命を脅かすだけでなく、大切な財産である家や家財を失う事態にもつながりかねません。電気設備を安全に使い続けるためには、接地抵抗値を規定値以下に維持することが絶対条件となります。

接地抵抗の測り方の基本手順

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接地抵抗値が法律の基準をきちんと満たしているかを確認するためには、「接地抵抗計(アーステスター)」という専門の測定器を用いた計測が必要です。この作業は、感電の危険も伴うため、電気工事士の資格を持つ専門家が行わなければなりません。

ここでは、最も精度が高く、一般的に用いられる「三極電位降下法」による測定の基本的な流れと、その原理を解説します。

測定の原理

この測定法は、測定したい接地極(E)と、補助的に地面に打ち込む2本の金属棒(PとC)の3点を使って計測します。

まず、接地抵抗計から接地極(E)と電流用の補助棒(C)の間に一定の交流電流(I)を流します。すると、電流が大地を流れることで、接地極(E)の周りの地面の電位が上昇します。

次に、その電位の上昇具合を、電圧用の補助棒(P)を使って測定します(電圧 V)。

最終的に、オームの法則(R = V / I)に基づき、接地抵抗計が自動的に抵抗値(R)を算出して表示する仕組みです。

準備するもの

  • 接地抵抗計本体
  • 補助接地棒 2本(P極、C極)
  • 測定用コード 3本(一般的に、E極用:緑、P極用:黄、C極用:赤)

測定の基本手順

  1. 地電圧の確認:測定を始める前に、まず測定場所に漏電などによる不要な電圧(地電圧)が存在しないかを確認します。接地抵抗計の機能で地電圧を測定し、規定値(一般的に3Vや10Vなど、測定器の仕様による)以下であることを確かめます。もし高い電圧が検出された場合は、漏電の可能性があるため、原因を調査するまで測定は中止します。
  2. 補助接地棒の設置:測定対象の接地極(E:Earth)から、約5m~10m離れた場所に、1本目の補助接地棒(P:Potential)を地面に深く打ち込みます。次に、P極からさらに5m~10m離れた場所に、2本目の補助接地棒(C:Current)を打ち込みます。E、P、Cがこの順番で、ほぼ一直線上になるように、かつ、それぞれの間隔が等しくなるように配置するのが正確な測定のポイントです。
  3. 測定コードの接続:接地抵抗計の各端子と、接地極および補助接地棒を、指定された色のコードで確実に接続します。緑のコードを測定対象の接地極(E)に、黄色のコードを補助接地棒(P)に、そして赤色のコードを補助接地棒(C)に接続するのが一般的です。
  4. 抵抗値の測定と確認:すべての接続が完了したら、接地抵抗計の測定ボタンを押します。表示された測定値が、その設備の接地工事に求められる基準値(例:D種なら100Ω)を下回っていれば、接地は正常に機能していると判断できます。
  5. 「C」から始まる番号(例: C01): これは、ご家庭で対処できる可能性があるエラーを示していることが多いです。例えば、付属品の入れ間違いや庫内の温度異常など、取扱説明書を確認して対処できる場合があります。
    「H」から始まる番号(例: H54): これは、電子レンジ本体の部品故障など、何らかの異常を検知したサインです。この表示が出た場合は、電源プラグを抜き、お買い上げの販売店または日立の修理相談窓口へ点検を依頼することが推奨されています。

補助接地棒を打ち込む際は、地中の水道管やガス管、通信ケーブルなどを損傷しないよう、事前に図面などで埋設物の位置を確認することが不可欠です。また、乾燥した地面やコンクリートの上などでは正確な測定ができないため、水を撒いて湿らせるなどの工夫が必要になる場合があります。

接地抵抗値を下げる方法とは

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接地抵抗の測定結果が残念ながら法律の基準値を超えてしまった場合、そのまま放置することは許されません。抵抗値を基準値以下に下げるための、何らかの改善工事が必要となります。

接地抵抗値を下げる、すなわち「電気を大地へより流れやすくする」ための基本的なアプローチは、「接地極と大地が接触する面積を増やす」か、「接地極の周りの土壌自体の電気抵抗(大地抵抗率)を下げる」かのいずれか、あるいは両方を組み合わせることです。

以下に、現場で用いられる主な工法をいくつか紹介します。

主な接地抵抗低減工法

  • 接地極の深打ち:現在ある接地棒を、さらにハンマーなどで深く打ち込みます。地面は深い位置ほど水分量が多く、大地抵抗率が低い傾向にあるため、最も手軽で最初に試される方法です。
  • 接地極の追加(並列接続):1本の接地棒では抵抗が下がらない場合に、数メートル離れた場所にもう1本、あるいは数本の接地棒を新たに打ち込み、それらを電線でつなぎ合わせます(並列接続)。これにより、電気が大地へ流れ込む窓口が複数になり、全体の合成抵抗値が下がります。
  • 接地極の変更・大型化:細い接地棒の代わりに、より太く長い接地棒や、表面積が格段に大きい銅板(接地銅板)を地中に埋設します。大地との接触面積そのものを増やす、非常に効果的な方法です。
  • 接地抵抗低減剤の使用:接地極を埋設した穴や、その周囲の土壌に、導電性の高い炭素系の粉末や、硬化することで導電性を長期間維持する特殊な材料(接地抵抗低減剤)を投入し、水と混ぜて充填します。これにより、接地極の周りの土壌の抵抗率を化学的に改善し、安定した低い抵抗値を得ることができます。地質が悪く、他の方法では抵抗が下がりにくい場合に特に有効です。
  • ボーリング接地:専用の重機で地面に深い穴(ボーリング)を掘り、その穴に接地極と接地抵抗低減剤を充填する大掛かりな工法です。地表付近の地質が極端に悪い(岩盤など)場所でも、地下水脈のある層まで到達させることで、確実に低い接地抵抗値を得ることができます。

どの工法を選択するかは、現在の抵抗値、目標とする抵抗値、現場の地質、敷地の広さ、そして予算などを総合的に考慮して、専門の電気工事業者が判断します。安全に関わる重要な工事ですので、必ず信頼できるプロに依頼することが大切です。

接地抵抗とは何かをわかりやすく総括

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この記事では、接地抵抗の基本概念から、法律上の基準、測定方法、そして基準を満たさない場合の対策に至るまで、網羅的に解説してきました。最後に、本記事の最も重要なポイントを箇条書きでまとめます。

  • 接地抵抗は電気の流れにくさを示す値であり安全の指標
  • 目的は漏電した電気を速やかに大地へ逃がすこと
  • 感電事故や漏電火災を防ぐための重要な安全設備
  • 接地抵抗値は「低い」ほど安全性が高い
  • 電気は抵抗が低い経路を優先して流れる性質を利用している
  • 接地抵抗と絶縁抵抗は役割が正反対
  • 絶縁抵抗は電気が漏れないようにする性能で「高い」ほど良い
  • 接地工事は電気設備技術基準という法律で義務付けられている
  • 接地工事はA種・B種・C種・D種の4種類に分類される
  • 高圧設備が対象のA種接地は最も厳しい10Ω以下
  • 一般家庭に関わるD種接地は原則100Ω以下
  • 漏電遮断器の設置があればD種は500Ω以下に基準が緩和される
  • 接地抵抗が高いと感電・火災・機器故障のリスクが増大する
  • 測定には「接地抵抗計」という専門の測定器が必要
  • 抵抗値を下げるには接地極の追加や接地抵抗低減剤の使用が有効


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