マキタの芝刈り機で、さあ作業を始めようとした矢先、突然動かなくなり途方に暮れた経験はありませんか。特に、人気のマキタ MLM2301がすぐ止まる主な要因として、モーターへの過負荷が故障を招くケースは決して珍しくありません。この記事では、芝刈り機の寿命を延ばすための具体的なポイントや、使用前に必ず確認すべき注意事項、そして切れ味を保つための替刃交換方法ロータリー編といった、日々のメンテナンスに役立つ情報を網羅的に解説します。
さらに、万が一のトラブルに直面した際に、モーター焼けの修理は自分でできるのか、またモーター交換が必要になる深刻なケースとはどのような状況か、気になる修理費用の相場についても、判断基準を交えながら詳しく掘り下げていきます。これから芝刈り機の購入を検討している方に向けては、そもそも電動と手動どっちがいいのか、そしてマキタ製品でしばしば比較対象となる18Vと36Vの違いは何ですか?といった根本的な疑問にも明確にお答えします。
この記事を通じて、正しいマキタ芝刈り機モーター焼けを防ぐ知識を体系的に身につけ、予期せぬトラブルに悩まされることのない、快適で楽しいガーデニングライフを実現しましょう。
- モーター焼けを引き起こす具体的な原因と効果的な予防策
- トラブルが発生した際の冷静かつ適切な対処手順
- 修理やモーター交換にかかる費用の詳細な目安と比較
- 製品選びに役立つ電動・手動の特性やバッテリー性能の比較
マキタ芝刈り機のモーター焼け?その原因とは

マキタ MLM2301 すぐ止まる主な要因

マキタの電動芝刈り機、特にMLM2301のような人気モデルが作業の途中で突然停止してしまう場合、多くの方が「故障かもしれない」と不安に思われることでしょう。しかし、その多くは機械が自らを守るために備わっている保護機能が正常に作動した結果であり、必ずしも故障とは限りません。その主な要因を理解することで、冷静に対処できるようになります。
過負荷による保護機能の作動
最も一般的な原因は、モーターに想定以上の負荷がかかることです。これは、機械を深刻なダメージから守るための重要なセーフティ機能です。例えば、以下のような状況で発生しやすくなります。
これらの状況でモーターに過大な電流が流れると、内部のサーマルプロテクター(過熱保護装置)や過電流保護回路が作動し、モーター焼けを未然に防ぐために自動的に電源を遮断するのです。
刈り芝の詰まり
刈り取った芝を後方のグラスキャッチャー(集草ボックス)へ送るための通り道や、ファン周辺に芝が詰まってしまうことも、機械が停止する直接的な原因です。グラスキャッチャーが満杯になっているのに気づかず作業を続けると、排出されなくなった芝が逆流し、刃の回転スペースを物理的に塞いでしまいます。これにより刃の回転がロックされ、モーターに過負荷がかかり、結果として保護機能が働きます。
バッテリーの問題
コードレスモデルの場合、バッテリーが原因である可能性も考えられます。
モーターへの過負荷が故障を招く

芝刈り機の心臓部であるモーターは非常にパワフルですが、その能力には限界があります。許容量を超える負荷、すなわち過負荷が継続的にかかると、性能が低下し、異音や発熱といった前兆を経て、最終的には「モーター焼け」という致命的な故障に至る可能性があります。これは、人間が準備運動もなしに全力疾走を続けるようなもので、機械に深刻なダメージを与えてしまいます。
過負荷を招く具体的な作業方法
モーター焼けを防ぐためには、どのような作業が過負荷につながるのかを具体的に知っておくことが重要です。
💡 負担をかけない「二段階刈り」のススメ
芝が長く伸びてしまった場合は、一度で済ませようとせず、二段階で刈ることを強く推奨します。
- 一段階目まず、刈高を最も高い設定、あるいは中間の設定にして、芝の上半分を刈り取ります。
- 二段階目次に、本来の目的の高さに設定し直し、もう一度全体を刈ります。
この一手間を加えるだけで、モーターへの負荷は劇的に軽減され、仕上がりも美しくなります。
過熱がもたらす致命的なダメージ
モーター内部の温度が許容範囲を超えると、コイルを覆っているエナメルなどの絶縁被膜が溶け始めます。これが、モーター焼け特有の焦げ臭いにおいの原因です。絶縁が破壊されると、コイル内でショート(短絡)が起こり、モーターは正常に回転する力を失います。この状態に陥ると、修理は困難となり、高価なモーター交換が必要となってしまうのです。
芝刈り機の寿命を延ばすポイント

芝刈り機は決して安い買い物ではありません。適切な手入れと保管を日頃から心がけることで、その寿命を驚くほど延ばすことが可能です。単なる「道具」としてではなく、庭を美しく保つための大切な「パートナー」として接することが、結果的に長期的なコストパフォーマンスを最大化する秘訣です。
1. 保管方法の徹底
作業が終わった後の保管方法が、機械の寿命を大きく左右します。
2. 定期的な点検と清掃の習慣化
「使ったら、きれいにする」という単純な習慣が、故障の多くを未然に防ぎます。
🔧 使用後の簡単メンテナンス・チェックリスト
- 電源の遮断:安全のため、必ずバッテリーを外すか、電源プラグを抜いてから作業を始めます。
- 通気口(ベント)の清掃:モーター冷却用の通気口は、芝や土埃で最も詰まりやすい箇所です。使い古しの歯ブラシやエアダスターで、内部のゴミを丁寧にかき出します。
- 本体・刃の清掃:本体下部や刃に付着した芝や泥は、水分を含んでおり、錆の温床となります。ブラシで大まかな汚れを落とした後、固く絞った布で拭き上げましょう。
- 各部の緩みチェック:ハンドルや車輪、刃を固定しているネジ類に緩みがないか、手で触って確認します。
3. 消耗品の適切なタイミングでの交換
自動車にタイヤやオイル交換が必要なように、芝刈り機にも定期的に交換すべき消耗品があります。これらを適切なタイミングで交換しないと、他の重要な部品にまで悪影響が及び、高額な修理につながる可能性があります。
使用前に確認すべき注意事項は?

毎回の芝刈り作業を、安全かつスムーズに進めるためには、作業開始前の数分間で行う「始業前点検」が非常に重要です。この一手間を習慣づけることで、作業中の予期せぬトラブルを大幅に減らすことができます。
1. 取扱説明書の再確認
一度読んだきりになっている方も多いかもしれませんが、取扱説明書は安全な使用方法と機械の性能を最大限に引き出すための知恵が詰まったバイブルです。特に、芝の状況に応じた適切な刈高の推奨値や、安全装置(ロックオフレバーなど)の正しい操作方法は、作業前に再確認する価値があります。自己流の誤った使い方が、知らず知らずのうちに機械へダメージを蓄積させていることは少なくありません。
2. バッテリーと電源の確認
3. 本体と作業エリアの目視点検
切れ味を保つ替刃交換方法ロータリー編

芝刈り機の刃は、ただ回転すれば良いというものではありません。鋭い切れ味を保っているかどうかが、芝生の仕上がりの美しさと、モーターの寿命を大きく左右する、極めて重要なパーツです。切れ味が鈍った刃は、芝生を鋭利に「切断(カット)」するのではなく、力まかせに「引きちぎる(テア)」ようになります。この「引きちぎる」という行為には、はるかに大きな力が必要となり、その負担はすべてモーターに直接のしかかってきます。
切れ味低下がもたらす悪影響
👀 切れ味低下を見極めるサイン
- 刈り跡の芝生の先端が、白っぽくまたは茶色く枯れている
- 刈り取った芝の切り口が、スパッと直線的でなく、ささくれている
- 以前よりもモーター音が苦しそうに聞こえる、または回転数が落ちやすい
交換作業の基本的な流れと注意点
ロータリー式の刃の交換は、正しい手順と安全への配慮を怠らなければ、ご自身でも十分可能です。
- 安全確保:最重要項目です。 必ずバッテリーを本体から抜き取り、誤作動を完全に防ぎます。作業中は、手を保護するために厚手の作業用手袋を着用してください。
- 本体の固定:本体を安定した場所に横向きに置きます。エアクリーナーやキャブレターが付いているエンジン式の場合は、それらが上側になるように倒すのが基本ですが、電動式の場合は向きの制約は少ないです。
- ボルトの取り外し:刃の中心部を固定しているボルトを、レンチやソケットレンチを使って反時計回りに回して緩めます。このとき、刃も一緒に回転してしまうため、厚い布で刃をつかむか、角材などを刃と本体の間に挟んで回転を固定すると、力をかけやすくなります。
- 刃の交換:ボルトが外れたら、ワッシャーなどを含めて古い刃を取り外します。新しい刃を取り付ける際は、刃の裏表と回転方向を絶対に間違えないでください。 通常、刃には回転方向を示す刻印や矢印があります。
- ボルトの締め付け:新しい刃を装着したら、ワッシャーなどを元通りに戻し、ボルトを時計回りに力強く締め付けます。最後に刃を手で揺すってみて、一切ぐらつきがないことを確認すれば完了です。
注記:機種によってボルトのサイズや刃の形状が異なります。必ずご自身のモデルの取扱説明書で詳細な手順を確認し、適合する純正の替刃を使用してください。
マキタ芝刈り機モーター焼けの対処法と費用

モーター交換が必要になるケースとは

モーターに不調の兆候が現れ始めたとき、それが簡単なメンテナンスで回復するレベルなのか、それとも部品交換という大掛かりな修理が必要なレベルなのかを見極めることが重要です。以下に挙げるような症状が見られた場合は、モーターが深刻なダメージを負っており、モーターアッセンブリ(ユニット全体)の交換が必要になる可能性が非常に高いと考えられます。
感覚でわかる「重症」のサイン
人間の五感で感じ取れる、危険な兆候があります。これらのサインを見逃さず、直ちに使用を中止してください。
- 嗅覚:明らかな焦げ臭いにおい これが最も決定的で危険なサインです。モーター内部の絶縁被膜が熱で溶け、ショートを起こしていることを示しています。化学的な、鼻を突くようなにおいがした場合、モーターはすでに致命的な損傷を負っています。
- 聴覚:異常な金属音や回転音
- 「キーン」「シャリシャリ」:モーター内部のベアリングが摩耗・破損し、金属同士が高速でこすれ合っている音の可能性があります。
- 「ガリガリ」「ゴリゴリ」:ベアリングが完全に破損(焼き付き)し、回転が著しく妨げられているか、内部で部品が破損して接触している可能性があります。
- モーターが「唸る」だけで回転しない:電気が流れているにもかかわらず、回転軸がロックされている状態で、放置すると数秒で完全に焼損します。
- 触覚・視覚:異常な発熱とパワーの著しい低下 本体のモーター部分が、通常の使用では考えられないほど熱くなる場合、内部で異常な発熱が起こっています。また、バッテリーは満タンなのに、少しの負荷(少し長めの芝など)ですぐに回転が弱くなったり、止まってしまったりする症状が続く場合も、モーターのトルク(回転力)が恒久的に失われている証拠です。
これらの症状を無視して無理に使用を続けると、完全に動かなくなるだけでなく、発火などの重大な事故につながる恐れもあります。早期に専門家の診断を仰ぐことが、被害を最小限に食い止める唯一の方法です。
気になる修理費用の相場について

モーター交換という大掛かりな修理に直面したとき、最も気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用面の問題でしょう。正確な金額は、当然ながら機種や故障の具体的な状況によって異なりますが、事前に大まかな相場を知っておくことで、「修理して使い続ける」か「新品に買い替える」かの判断がしやすくなります。
モーター交換費用の内訳と目安
修理費用は、大きく分けて「部品代」と「技術料(工賃)」で構成されます。
これらの合計から、モーター交換の総額はおおよそ14,000円~23,000円の範囲に収まることが多いと想定されます。
修理か、買い替えかの判断基準
この修理費用を、新品の芝刈り機の価格と比較することが、合理的な判断を下すための鍵となります。
💰 修理と買い替えの損益分岐点
一般的に、修理費用が、同等性能の新品購入価格の50%を超える場合は、買い替えを検討する方が長期的に見て賢明な選択となることが多いです。
以下の表は、判断を下す際の思考を整理するのに役立ちます。
判断基準 | 修理がおすすめのケース | 買い替えがおすすめのケース |
使用年数 | 購入から3年未満の比較的新しいモデル | 5年以上使用しており、全体的に劣化が進んでいる |
修理費用 | 新品価格の30%~40%程度に収まる | 新品価格の50%を超え、新品との価格差が少ない |
製品の状態 | 故障箇所がモーターに限定されており、外装や他の部品は良好 | モーター以外にも刃やタイヤ、バッテリーなどの消耗が激しい |
保証の有無 | (稀ですが)保証期間内である | 保証が切れ、修理後も他の箇所の故障リスクが高い |
技術革新 | 最新モデルと比較しても、性能的に大きく見劣りしない | 最新モデルが、静音性、バッテリー性能、機能面で大幅に進化している |
まずは正式な見積もりを修理店に依頼し、その金額を基に、ご自身の芝刈り機の状態や今後の使用計画と照らし合わせて、総合的に判断することが後悔のない選択につながります。
そもそも電動と手動どっちがいい?

芝刈り機の購入を検討する上で、多くの方が最初に直面するのが「電動式」と「手動式(リール式)」という根本的な選択です。この二つは単に動力源が違うだけでなく、作業性、仕上がり、メンテナンス性、そして芝生への影響まで、多くの面で特性が異なります。どちらが優れているということではなく、ご自身の庭の環境や芝刈りに求める価値観によって最適な選択は変わってきます。
電動芝刈り機(マキタなどに代表されるロータリー式/リール式)
最大の魅力は、圧倒的なパワーと作業効率です。 スイッチを入れれば刃が高速で回転し、広範囲の芝を短時間で、そして少ない力で刈り取ることができます。特にマキタが展開するバッテリー式のモデルは、電源コードの取り回しに悩まされることなく、どこでも手軽に作業できる高い機動性が支持されています。
- メリット:広範囲でも疲れにくい、作業時間が短い、刈高の調整が容易、自走式モデルなら坂道も楽。
- デメリット:エンジン式よりは静かだが作動音は大きい、バッテリーの充電管理が必要、本体価格やメンテナンス費用が手動式より高額になる。
手動芝刈り機(リール式)
手動式の本質は、芝生への優しさと静粛性、そして環境負荷の低さにあります。 複数のらせん状の刃が回転し、固定刃との間ですり合わせるように芝を刈る「リール式」という構造は、ハサミで切るのと同じ原理です。これにより、芝の切り口がスパッと切れ、ダメージを最小限に抑えることができるため、プロのゴルフ場などで採用されているのもこの方式です。
- メリット:作動音が非常に静かで、早朝でも近隣に気兼ねなく作業できる、電源不要でエコ、ランニングコストがほぼゼロ、切り口が美しく芝生の健康に良い。
- デメリット:作業には相応の体力が必要、芝が長すぎたり、硬い雑草があったりすると刈れないことがある、地面の凹凸に弱い。
比較項目 | 電動式(マキタなど) | 手動式(リール式) |
得意な庭の広さ | 中規模(約30坪)~大規模 | 小規模(~約30坪) |
作業の労力 | 少ない(特に自走式) | 多い |
作動音 | 大きい | 非常に静か |
仕上がりの美しさ | 良好 | 非常に良い(芝へのダメージ小) |
メンテナンス性 | バッテリー管理、内部清掃などやや複雑 | 刃の研磨・調整、注油が主でシンプル |
初期費用 | 高い | 安い |
ランニングコスト | 電気代、バッテリー交換費用 | ほぼゼロ |
芝刈りを「効率的に終わらせたい作業」と考えるなら電動式、「芝生と向き合う丁寧な時間」と考えるなら手動式が、それぞれ満足度の高い選択となるでしょう。
18Vと36Vの違いは何ですか?

マキタの豊富なバッテリー式園芸工具の中から芝刈り機を選ぶ際、必ず目にするのが「18V」と「36V」というスペック表記です。これはバッテリーの電圧(V=ボルト)を示しており、電圧はモーターの基本的なパワー(トルク)に直結します。 車で例えるなら、電圧はエンジンの排気量のようなもの。排気量が大きいほど、より力強い走りができるのと同じです。どちらがご自身の使い方に合っているかを理解するために、それぞれの特性を深く掘り下げてみましょう。
18Vシリーズ:軽快さと圧倒的な互換性
18Vシリーズの最大の強みは、軽快な取り回しと、他の工具との圧倒的なバッテリー互換性にあります。 マキタは18Vバッテリーで動作する工具を数百種類以上もラインナップしており、インパクトドライバーや丸ノコ、クリーナーなど、もし既にお持ちであれば、そのバッテリーを芝刈り機にも使い回すことができます。これにより、本体のみを購入すればよく、初期投資を大きく抑えることが可能です。 パワーに関しても、日本の一般的な家庭の庭(~50坪程度)であれば、多くの場合18Vモデルで十分な性能を発揮します。本体も比較的軽量でコンパクトなモデルが多いため、小回りが利き、物置などでの収納性にも優れています。
36Vシリーズ:エンジン式に匹敵するハイパワー
36Vシリーズは、その高い電圧がもたらすエンジン式にも劣らない圧倒的なハイパワーが最大の魅力です。 このパワーは、以下のような高負荷な状況で真価を発揮します。
特徴 | 18Vシリーズ | 36Vシリーズ(18V+18V含む) |
基本コンセプト | バランスと互換性 | パワーと作業効率の最大化 |
パワー(トルク) | 標準的(家庭の庭には十分) | 非常に強力(プロユース、高負荷作業に対応) |
推奨ユーザー | ・既に18Vバッテリー資産がある方 ・標準的な広さの庭を持つ一般家庭 ・取り回しの軽さを重視する方 | ・広大な庭を持つ方 ・作業効率を最優先するプロ ・芝の密度が高い、または雑草が多い環境の方 |
重量・サイズ | 比較的軽量・コンパクト | 大きく・重くなる傾向 |
バッテリー互換性 | 非常に幅広い工具と互換 | 36Vまたは18V+18V対応工具に限定 |
ご自身の庭の広さ、芝の状態、そして他にマキタ製品を持っているかを総合的に考慮して、最適な電圧を選択することが、満足のいく芝刈り体験につながります。
マキタ芝刈り機モーター焼けを防ぐ知識

この記事を通じて解説してきた、マキタ芝刈り機のモーター焼けを防ぎ、末永く快適に使用するための重要な知識を、最後に要点としてまとめます。日々の作業やメンテナンスの際に、このチェックリストを思い出してください。
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