電装品が突然動かなくなった時、多くの場合で原因となるのが「ヒューズ切れ」です。しかし、ヒューズが飛んだ状態とは具体的にどのようなものか、また目視によるヒューズ切れの見分け方はあるのでしょうか。特にガラス管ヒューズの確認方法については、見ただけでは判断が難しいケースも少なくありません。そこで役立つのがテスターです。この記事では、検電テスターで通電確認する手順から、より正確なテスターを使ったヒューズの測り方までを詳しく解説します。車のヒューズをテスターで確認する場合の具体的な方法や、なぜテスターのヒューズが飛ぶのかという疑問にもお答えします。実はテスターのヒューズ交換は自分でできる作業であり、その手順も紹介します。この記事を読めば、ヒューズはテスターで確認しよう!と自信を持って言えるようになるはずです。
- ヒューズが切れる原因と基本的な役割の理解
- 目視とテスターを使ったヒューズの状態確認方法
- 自動車や電化製品における具体的な測定手順
- 安全に作業するための注意点とテスターのメンテナンス方法
ヒューズをテスターで確認する前の基礎知識

ヒューズが飛んだ状態とは?

ヒューズが「飛んだ」あるいは「切れた」という状態は、電気回路に設計上想定されている以上の過大な電流が流れた際に、ヒューズ内部にある金属部分(エレメント)が熱によって溶け、物理的に断線することで電流の流れを強制的に遮断した状態を指します。これは決して故障ではなく、むしろ電気回路や接続されている機器を高熱による損傷や発火といった、より深刻なトラブルから守るための重要な安全装置が正常に作動した証拠と言えます。
ヒューズが飛ぶ主な原因は、大きく分けて二つ考えられます。
一つ目の原因は「回路の過負荷(オーバーロード)」です。これは、ヒューズが保護している一つの回路に、その許容電流(アンペア数)を超える負荷がかかり続ける状況を指します。例えば、家庭のコンセントで言えば、一つの電源タップに消費電力の大きな家電(電子レンジ、ドライヤー、電気ケトルなど)を同時に多数接続して使用する、いわゆる「タコ足配線」が典型的な例です。自動車であれば、シガーソケットから分岐ケーブルを使って多くの電装品へ同時に給電した場合などに発生しやすくなります。
二つ目の原因は「ショート(短絡)」です。これは、電気回路のプラス(+)とマイナス(-)の配線が、ケーブルの被覆が劣化して剥がれたり、何らかの原因で損傷したりすることで、負荷(電装品など)を介さずに直接接触してしまう現象です。この状態になると、回路の抵抗がほぼゼロに近くなり、瞬間的にヒューズの定格をはるかに超える非常に大きな電流が流れようとします。この突発的な大電流を検知したヒューズが、瞬時に溶断することで回路を遮断し、配線の焼損や車両火災などの重大な事故を防ぎます。
【ポイント】ヒューズは「自己犠牲」で全体を守る番人
ヒューズは、過電流という異常事態に対して、自らが溶けて切れるという「自己犠牲」の精神で、高価な電子機器や回路全体を保護する重要な役割を担っています。電装品が動かなくなった際は、まずこの番人であるヒューズの状態を疑い、確認することが、トラブルシューティングの基本かつ最も効率的な第一歩となるのです。
目視によるヒューズ切れの見分け方は?

テスターを使用する前に、まずはヒューズの状態を目で見て確認することが基本です。多くのヒューズは、内部の状態がある程度視認できるように設計されています。ただし、ヒューズの種類によって形状や確認すべきポイントが異なるため、代表的なタイプ別にその見分け方を解説します。
ヒューズの種類 | 形状と主な用途 | 目視での見分け方のポイント |
ブレードヒューズ | 扁平なプラスチック製の本体に2本の金属端子が付いている。色によってアンペア数が規格化されている。 (主に自動車で使用) | ・本体の透明なプラスチック部分から内部を覗き、U字型に配置された金属線(エレメント)が中央付近で溶けて切れていないか確認する。 ・ショートなどで切れた場合、エレメントが完全に蒸発して黒いススが付着したり、プラスチック本体が熱で溶けて変形 ・変色したりしていることもある。 |
ガラス管ヒューズ | 透明なガラス管の両端に金属製のキャップが付いている。サイズや速断型/遅延型など種類が豊富。 (主に家庭用電化製品やテスター内部で使用) | ・ガラス管の内部を透かして見て、中央を通る一本の細い金属線(フィラメント)が切れていないか確認する。 ・大電流で切れた場合は、フィラメントが溶け飛ぶだけでなく、ガラス管の内壁が黒くすすけていることが多い。これは切れている明確なサインとなる。 |
【ブレードヒューズ】

【ガラス管ヒューズ】

ブレードヒューズは自動車で最も一般的に使用されており、アンペア数ごとに色が法律で定められているため、交換の際に間違えにくいのが特徴です(例:10Aは赤、15Aは青、20Aは黄など)。確認する際は、光にかざして内部のエレメントが断線していないかを注意深く観察します。
一方、ガラス管ヒューズは電子機器の基板上などでよく見られます。こちらも内部のフィラメントを確認しますが、フィラメントが非常に細く、切れ目が微小で見えにくいことがあります。特に、定格電流をわずかに超える電流が長時間流れてゆっくりと溶断したようなケースでは、ガラス管内部にススなども発生せず、一見すると正常に見えてしまうことが少なくありません。
【注意】目視確認の限界
目視による確認は手軽で有効な一次チェックですが、万能ではありません。特にガラス管ヒューズや、振動などでエレメントに微細な亀裂が入ったブレードヒューズなど、見た目では判別が極めて困難なケースも存在します。目視で異常が見当たらないにも関わらず不具合が解消しない場合は、見た目を過信せず、必ずテスターによる導通確認へ進むことが確実な診断に繋がります。
検電テスターで通電確認する手順

検電テスターは、その名の通り「電気が来ているか(通電しているか)」を簡易的にチェックするための工具です。電圧の具体的な数値などを測ることはできませんが、ヒューズが切れているかどうかの一次判断を迅速に行うのに非常に便利です。ここでは、自動車のヒューズを例に通電確認の手順を解説します。
検電テスターの仕組みと準備
検電テスターは、本体から伸びるワニ口クリップを車体の金属部分(ボディアース)に接続し、本体先端の検電針(プローブ)を測定したい箇所に当てることで、電気が流れていれば本体内部のランプが点灯するというシンプルな仕組みです。
- まず、検電テスターのワニ口クリップを、塗装されていないボルトの頭や、ドアのヒンジ部分など、車体の金属が確実に露出している部分に挟んで接続します。これがアース(マイナス極)となり、回路を成立させるために不可欠な準備です。
- 次に、調べたい電装品が作動する状態にします。例えばオーディオのヒューズを調べるなら、車のキーをACC(アクセサリー)電源がオンになる位置まで回します。ヘッドライトならライトスイッチをONにする必要があります。
【検電テスター】

通電確認の手順
準備が整ったら、ヒューズボックスの蓋を開け、対象のヒューズの通電を確認します。
- 自動車用のブレードヒューズには、通常、上面に金属が露出した小さな「テストポイント」が2ヶ所あります。これはテスターを当てるための接点です。
- まず、片方のテストポイントに検電テスターの先端をしっかりと当てます。このときランプが点灯すれば、ヒューズの電源側までは正常に電気が来ていることが分かります。
- 続いて、同じヒューズのもう一方のテストポイントに検電テスターの先端を当てます。
この結果によって、ヒューズの状態を判断します。
【検電テスター使用時のコツ】
検電テスターは手軽さが魅力ですが、先端の針が細く、対象のポイントに当てにくいことがあります。焦らず、ヒューズボックス周辺を明るく照らし、確実にテストポイントに接触させてください。また、アースの接続が不完全だと正しく反応しないため、クリップがしっかりと金属部分を掴んでいるかを最初に確認することが重要です。
ガラス管ヒューズの確認方法について

前述の通り、ガラス管ヒューズは家庭用電化製品や精密な電子機器、そしてテスター本体の保護用としてなど、非常に幅広い場面で利用されています。その透明な見た目から内部の状態が確認しやすいというメリットがある一方で、その繊細さゆえに目視だけでは判断がつきにくいという側面も持ち合わせています。
ガラス管ヒューズの確認で特に注意が必要なのは、フィラメントの微細な断線です。過負荷によってゆっくりと溶断した場合、フィラメントのごく一部だけが溶けて非常に小さな隙間ができることがあります。この隙間は肉眼ではほとんど見えず、光にかざしたり角度を変えたりしても判別が困難なケースが少なくありません。また、内部にススが発生しないクリーンな切れ方をした場合も、一見すると正常品と見分けがつかないことがあります。
このような状況で最も確実かつ信頼性の高い確認方法が、テスター(デジタルマルチメーター)による「導通チェック」です。導通チェックは、ヒューズの両端の金属キャップ間に電気が流れる道(導通)があるかどうかを電気的に判定する方法です。
手順としては、まず安全のために必ず機器の電源を切り、コンセントを抜くかバッテリーを外してから、対象のヒューズをホルダーから取り外します。そして、テスターを導通チェックモードに設定し、ヒューズの両端の金属キャップにテストリードをそれぞれ当てるだけです。
【ガラス管ヒューズのチェックリスト】
ガラス管ヒューズの状態を確認する際は、以下のステップで行うと確実です。
- 目視チェック①(フィラメントの断線):管内部の金属線が物理的に切れていないか?
- 目視チェック②(内部のスス):管の内壁が黒くすすけていないか?
- 最終確認(テスターでの導通チェック):目視で異常がなくても、必ずテスターで導通を確認する。
このように、「見た目で判断がつかない場合がある」ということを常に念頭に置き、最終的にはテスターで判定するという習慣をつけることが、確実なトラブルシューティングに繋がります。
なぜテスターのヒューズが飛ぶのか?

テスターは電気の様々な状態を測定できる非常に便利な道具ですが、使い方を間違えると内部の保護ヒューズが飛んでしまい、一部または全ての機能が使えなくなってしまうことがあります。このトラブルの原因は、そのほとんどが「測定モードの選択ミス」に起因します。
最も典型的でやってしまいがちなミスが、「電流(A)測定モードのまま、電圧(V)を測定してしまう」ことです。この現象を理解するためには、電圧測定と電流測定でテスターの内部回路がどのように違うかを知る必要があります。
この内部抵抗の違いが、ヒューズが飛ぶ原因となります。内部抵抗がほぼゼロである「電流測定モード」の状態で、誤ってバッテリーのプラス端子とマイナス端子のような電圧源に直接テストリードを当ててしまうとどうなるでしょうか。抵抗がほとんどない場所に電圧がかかるため、オームの法則(I = V/R)に従い、瞬間的に非常に大きな電流(ショート電流)がテスター内部に流れ込もうとします。
この大電流は、テスターの精密な電子回路を破壊するのに十分なエネルギーを持っています。そうした事態を防ぐため、電流測定回路には必ず保護用のヒューズが内蔵されており、このヒューズが瞬時に溶断することで、本体を致命的な損傷から守るのです。
【テスターのヒューズを飛ばさないための3つのルール】
- 測定前の再確認:測定を開始する前に、必ず「何を測定するのか(電圧か、電流か、抵抗か)」を意識し、ファンクションダイヤルとテストリードの差し込み位置が正しいかを指差し確認する。
- 測定後のリセット:測定が終わったら、すぐにファンクションダイヤルを「OFF」の位置に戻す癖をつける。これにより、次に使う際に無意識のまま誤ったモードで測定を開始するリスクを減らせます。
- 電流測定は特に慎重に:電流測定は回路を切断して直列に接続する必要があるなど、他の測定とは手順が大きく異なります。「電流を測る」という強い意志がある時以外は、安易に電流測定モードにダイヤルを合わせないようにしましょう。
実践!ヒューズをテスターで確認する正しい手順

これまでの基礎知識を踏まえ、ここからは実際にテスター(デジタルマルチメーター)を使ってヒューズの状態を確認する具体的な手順を解説していきます。正しい手順と安全上の注意点を守れば、誰でも確実な診断が可能です。
テスターを使ったヒューズの測り方

目視では判断が難しいヒューズの状態を、電気的に、そして正確に診断するためには、デジタルマルチメーター(以下、テスター)の使用が最も確実な方法です。テスターには主に「導通チェックモード」と「抵抗測定モード」の二つの機能があり、どちらの機能を使ってもヒューズが正常か切れているかを判定できます。
準備するもの
正確で安全な作業を行うために、以下のものを事前に準備しておくとスムーズです。
導通チェックモードでの測定方法
このモードは、測定結果を「ピー」というブザー音で知らせてくれるため、テスターの画面を注視する必要がなく、直感的で分かりやすいのが最大の利点です。初心者の方には、まずこの方法をおすすめします。
- 【最重要】安全の確保:感電やショートといった事故を防ぐため、必ず測定対象の回路の電源を完全に切ってください。自動車であればエンジンを停止し、キーを抜きます。家庭用電化製品の場合は、壁のコンセントから電源プラグを抜いてください。
- テスターの設定:テスターのファンクションスイッチ(中央のダイヤル)を、ブザー音の記号(♪やスピーカーのようなマーク)や、ダイオードの記号(→|)が表示されている「導通チェックモード」に合わせます。
- テスターの動作確認:赤と黒のテストリード(プローブ)の金属先端部分を互いに接触させます。このとき「ピー」という連続したブザー音が鳴ることを確認してください。音が鳴れば、テスター本体とテストリードは正常に機能しています。
- ヒューズの取り外し:確認したいヒューズを、ヒューズプーラーなどを使って回路から慎重に取り外します。
- ヒューズの測定:取り外したヒューズの金属端子部分の両端に、赤と黒のテストリードの先端をそれぞれしっかりと当てます。
- 結果の判断:「ピー」とブザー音が鳴れば、ヒューズの内部は断線しておらず、電気が流れる道(導通)が確保されている正常な状態です。逆に、テストリードを当ててもテスターが反応せず無音のままであれば、内部で断線しており、ヒューズが切れていると確定できます。
抵抗測定モードでの測定方法
もしお使いのテスターに導通チェックモード(ブザー機能)がない場合は、抵抗(Ω)を測定するモードで代用することが可能です。電気的な抵抗値を測定し、その数値によって導通の有無を判断します。
- 導通チェックモードと同様に、必ず回路の電源を切り、対象のヒューズを取り外してください。
- テスターのファンクションスイッチを「抵抗(Ω)」と書かれたモードに合わせます。レンジ(測定範囲)が手動切替の機種の場合は、最も低いレンジ(例:200Ω)に設定します。
- ヒューズの両方の金属端子に、テストリードの先端をそれぞれ当て、液晶ディスプレイに表示される数値を読み取ります。
- 結果の判断:
- 正常なヒューズの場合:電気的な抵抗がほとんどないため、限りなく0に近い数値(例:0.1Ω〜1.0Ω程度)が表示されます。
- 切れているヒューズの場合:内部が断線して電気が全く流れない状態(無限大の抵抗)になっているため、ディスプレイには「OL(Over LimitまたはOver Load)」や「1」といった、測定範囲を超えていることを示す表示が出ます。
安全上の注意点
ヒューズの測定作業は、正しい手順を踏めば安全に行えますが、いくつかの重要な注意点があります。
【警告】測定・交換時の絶対ルール
車のヒューズをテスターで確認する場合

自動車のヒューズボックスには多数のヒューズが整然と並んでおり、一つずつ抜いて確認するのは手間がかかります。幸い、ほとんどの自動車用ブレードヒューズには、テスターのリードを当てられるように、上面に金属が露出した「テストポイント」が2ヶ所設けられており、これを利用することでヒューズを抜かずに迅速なチェックが可能です。
ヒューズを抜かずに確認する方法
この方法は、デジタルマルチメーターの「直流電圧(DCV)」測定モード、または簡易的な検電テスターを使用して行います。
- 車両の準備:車のエンジンを停止した状態で、イグニッションキーをACC(アクセサリー)またはONの位置まで回します。これにより、ヒューズボックス内の各回路に通電した状態になります。(常時電源のヒューズを調べる場合はキーがOFFでも構いません)
- テスターの準備:
- デジタルマルチメーターの場合:ファンクションダイヤルを「直流電圧(V⎓)」モードに設定します。黒いテストリードを車体の塗装されていないボルトなど、金属が露出した部分に確実に接触させてアース(マイナス)を取ります。
- 検電テスターの場合:ワニ口クリップを同様に車体の金属部分に接続してアースを取ります。
- 測定の実施:赤いテストリード(または検電テスターの先端)を、確認したいヒューズの片方のテストポイントに当て、電圧が表示されるか(検電テスターなら光るか)を確認します。正常であれば、バッテリー電圧に近い数値(約12V)が表示されます。
- 反対側の測定:次に、同じヒューズのもう一方のテストポイントに赤いテストリードを当てます。
- 結果の判断:
- 両方のテストポイントで電圧が表示される(光る)場合:ヒューズは切れておらず、正常です。
- 片方では電圧が表示される(光る)のに、もう一方では0Vになる(光らない)場合:ヒューズが切れていると断定できます。電源側から来た電気が、ヒューズ内部の断線箇所で止められている状態です。
【この方法のメリット】
この「ヒューズを抜かない確認方法」は、特にどのヒューズが原因か見当がつかない場合に、多数のヒューズを短時間で効率的にチェックできるため非常に有効です。
ヒューズを抜いて確認する方法
前述の方法で切れているヒューズを特定した場合や、テストポイントがないタイプのヒューズ、あるいはより確実に診断したい場合には、ヒューズを抜いて直接測定します。
- 安全確保:ショートなどのリスクを避けるため、必ず車のエンジンを完全に停止し、イグニッションキーも抜いてください。
- ヒューズの取り外し:ヒューズボックスの蓋の内側などに備え付けられている専用の「ヒューズプーラー」(白いプラスチック製のピンセットのような工具)、または先の細いラジオペンチを使って、対象のヒューズをまっすぐ慎重に引き抜きます。
- テスターの設定と測定:テスターを「導通チェックモード」または「抵抗測定モード」に設定します。
- 抜いたヒューズの2本の金属端子(ブレード部分)に、テストリードをそれぞれ当てて、ブザー音の有無や抵抗値を確認します。この際の判断基準は、前項「テスターを使ったヒューズの測り方」で解説した通りです。
この方法は一手間かかりますが、ヒューズ単体を回路から完全に切り離した状態で測定するため、最も確実で信頼性の高い診断方法と言えます。
テスターのヒューズ交換は自分でできる

テスターの測定モードの選択を誤るなどして、意図せず内部の保護ヒューズを飛ばしてしまった場合でも、その交換作業は比較的簡単で、多くの場合ユーザー自身で行うことが可能です。テスターの裏蓋を開けることで、内部のヒューズにアクセスできる構造になっています。
交換手順の一般的な流れは以下の通りです。
- 【重要】安全手順:作業を始める前に、感電やショートを防ぐため、必ず赤・黒のテストリードをテスター本体から抜いてください。
- 本体の分解:多くのテスターは、本体の周囲を保護するゴム製のカバー(ホルスター)で覆われています。まずこのカバーを外します。次に、本体の裏側にある電池蓋や、ケース全体を固定している数本のネジを、精密プラスドライバーなどを使って緩めて取り外します。
- ヒューズの確認:ケースを開けると、電子基板上に円筒形のガラス管ヒューズがクリップ式のホルダーに取り付けられているのが見えます。電流測定レンジを保護するため、mA(ミリアンペア)用の小さなヒューズと、10Aなどの大電流(アンペア)用の大きなヒューズの2本が内蔵されている機種が一般的です。どちらの電流レンジが使えなくなったかに応じて、対象のヒューズを確認します。
- ヒューズの交換:切れているヒューズを、先の細いマイナスドライバーなどでホルダーから慎重にこじって取り外します。そして、新しいヒューズを元の位置にしっかりと押し込み、固定します。
【交換用ヒューズ選択時の最重要注意点】
テスターのヒューズを交換する上で最も重要なことは、必ず「元のヒューズと全く同じ定格(仕様)のもの」を使用することです。ヒューズの金属キャップ部分には、「定格電流(例:500mA, 0.5A)」と「定格電圧(例:250V)」が必ず刻印されています。この数値が完全に一致するものを購入してください。
もし誤って定格電流の大きなヒューズを取り付けてしまうと、次にテスターを誤使用した際に保護機能が働かず、テスター本体の内部回路が焼損し、修理不能な高価な損害に繋がる可能性があります。必ず仕様を守ってください。また、ヒューズには速断型(F: Fast Blow)や遅延型(T: Time Lag)などの種類もありますので、可能であれば元のヒューズと同じタイプを選ぶことが理想的です。
まとめ:ヒューズはテスターで確認しよう

この記事で解説してきたように、電装品の不具合におけるヒューズの確認は、トラブルシューティングの基本です。最後に、重要なポイントを箇条書きでまとめます。
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